また今年も無事に新年を迎えることができました。人生も歳月を重ねることにより、この当たり前のことの有難さを、とても身に染みて感じるようになって参りましたが、会員の皆様におかれましては、如何でしょうか。
早いもので昨年は、先代の彰堂家元が亡くなってから七回忌を迎えました。この六年間は本当に無我夢中で、まさに瞬く間に過ぎてしまった感があります。突然の家元交替で、最初は戸惑うことも多々ありましたが、全てはこの歳月が解決してくれたような気もします。
毎月の生活の中では、本部研修で八つの部会、そして東京を始めとして福井、群馬、三重の研修会、それにカルチャースクールやその他の自分自身の稽古を合わせ、月の半分以上の日数を、どっぷりと煎茶道の世界に身を置いています。すると実に様々なことが見えてくるようになりました。煎茶道の生まれた背景、お茶の味、それぞれの道具の意味、点前の意味、茶席の意義、お客様からみた茶席、席主の心得・・・等、単にお茶を入れるだけの背景に、実に様々なことが見え隠れしてくるわけです。それまで実に単純な動きだと思っていた仕草の中にも、深い意味すら感じ取ることができます。昨年の研修で、改めて涼炉の使い方の意義などを確認したのも、それらの表れです。これからも常に煎茶道の原点の立ち戻り、改めて煎茶道の良さを確認していこうと思います。
ご承知のように静風流では、公益法人として、日本古来の文化である煎茶道の普及活動を行っていくことが最大の使命です。つまり会員の皆様が、煎茶道の意義や楽しさを体得し、自分自身が楽しむばかりでなく、更にそれを広く一般に知らしめていくことが公益法人にとって重要な事業となります。本年十二月には公益法人改革法が施行され、五年以内に新制度での認定を受けなければなりません。その為には、流だけでなく、会員の皆様一人一人のご尽力も、少なからず必要となります。ご理解の上ご協力をお願い致します。
尚今年は先代の功績を偲び、会報の表紙に二代彰堂家元の筆と「文人華」からの題材を暫く使用させて頂きます。本年も宜しくお願い致します。
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